日本海賊党の名称論

林田力

日本海賊党(Pirate Party)というユニークな政党がある。液体民主主義(リキッド・デモクラシー)などを掲げる。この海賊党が成長する上で一つの課題は海賊という名称にポジティブなイメージを与えることである。

ヨーロッパの海賊党を知っている人ならば海賊党という名称をクールに感じる人も少なくないだろう。そのような人々が海賊党に集っていると言っても良い。しかし、そうではない大多数の人々にとって海賊党は、泥棒党や強盗党と同じようなイメージを抱くことになる。私としても半グレ党やヤンキー党、関東連合党などの政党は絶対に支持しない。

一方で海賊イメージの向上には可能性がある。過去にはパイレーツというアイドルグループが存在した。今は何と言っても尾田栄一郎の人気漫画『ONE PIECE』がある。これは海賊の活躍を描く漫画である。『ONE PIECE』の原型になった『ROMANCE DAWN』は海賊には二種類存在するとしている。無法に略奪する海賊「モーガニア」と、モーガニアを狩って冒険する「ピースメイン」である。この世界観は海賊イメージの向上に有益である。

文学作品では『村上海賊の娘』『海賊と呼ばれた男』がある。『村上海賊の娘』は主人公が当時の枠組みでは非常識と言ってよい活躍をする。それは海賊としても、あり得ないものであるが、むしろ海賊という権力から相対的な自由さがある存在故にできたと読ませるエネルギーがある。

日本史において海賊を悪とする見方は権力者のものである。海賊は自由の民であった。豊臣秀吉の海の刀狩り令によって海賊は消滅し、武士か漁民という形で封建支配に組み込まれた。この歴史を振り替えるならば日本こそ海賊党にマッチしていると見ることもできる。

『海賊と呼ばれた男』は石油会社の創業者をモデルとした書籍である。ルール違反の商売をしたために海賊と呼ばれることになった。このルールは現代の価値観では不公正な取引に該当しうるものであり、ルール違反には既得権打破というプラスの側面がある。このような悪名ならば大歓迎である。同じ悪名でも東急グループ創業者の強盗慶太とは大違いである。この著者は歴史認識などが物議を醸しているが、坊主憎ければ袈裟まで憎いで全否定するならば偏狭な教条主義に陥る。それを打破する新しさこそが海賊党の魅力になる。




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